手がクリームパン日記

手がクリームパンの人の雑記です

文系の大学院

平成の最後なので、天皇に倣って僕もお気持ちを表明しようと思います。

僕は私立の法学部を卒業し、そのまま大学院法学研究科に進学しました。研究者になりたかったわけです。

 

法科大学院と法学研究科

 大体の人に「法学部の院?司法試験受けるんだ」みたいな反応をされます。法学部の後輩でさえ同じようなことを言ってきた子もいました。大学によっては法科大学院が「法学研究科・法曹養成専攻」みたいな名前になってるところありますし、間違われるのも無理はないと思います。

1.法科大学院

 法科大学院というのは、ロースクール(Law School)とも呼ばれる、専門職大学院です。卒業すると司法試験の受験資格と「法務博士」という専門職学位が与えられます。法科大学院生は日々小テストに追われながら司法試験に通るための勉強をします。かなり司法試験に重点を置いた法律知識を勉強するため、“司法試験予備校”と侮蔑的に呼ばれることもあります。

2.法学研究科

 対して法学研究科というのは、他の学部で想像されるような“大学院”で、つまり、法学部の上位に設置され、修士、博士課程によって構成されるものであり、研究をする機関です。主に議論がある法的問題や政治学的問題の解決のために、問題点を整理し、資料を集め、自分の意見を論文として書くというような作業をします。

 

僕が所属しているのは法学研究科で、司法試験を目指して勉強をしているわけではありません。論文を書くことを主目標として日々資料と格闘しています。

 

というか、法科大学院って、司法研究科だったり、法務研究科だったり、大学によって微妙に呼び名が違うのがすごく気になります。統一しないんですかね?

 

法学研究科の生活

※あくまで僕の大学院での生活です

基本的に少人数で教授との対話形式の授業が多く、自分の調べてきた内容を発表しながら教授からレスポンスを得るといったものです。もちろん講義形式の授業も少なからずあります。授業準備は学部生とくらべてはるかに労力のかかるものですが、修了に必要な単位数は学部ほど多くなく、授業のない時間は自分の修士論文などのための勉強、研究を行っています。休みは下位にある学部とリンクしていることが多く、春、夏休みは長いですが、必要に応じて登校し、勉強、研究をしています。また、人数が少ないおかげか、教授によっては休暇中も授業をしてくれる人もいます。

 

研究と勉強

 僕は、昔から本を読んだり、うんちくを人前で言ったりするのが好きで、テストの点数も悪くもない、自分で言うのも恥ずかしいですが“勉強のできる子”だったと思います。新しい知識を仕入れることが好きで、色々なものを浅く広く勉強してきたように思います。ここでいう勉強は、誰かが生み出してくれた情報を消費・吸収することであると言い換えることができると思います。それに対して、大学院で必要とされたのが研究です。つまりこの世界にある知識から、誰も知らない新しい情報を生産することが求められました。

 一つの分野を深く深く学び、新しい情報を生み出すことは、僕の好きな勉強とは全く違ったものでした。僕は「研究者」という職業は好きなだけ“勉強”ができる職業だと思っていましたが、本当に求められたのは“研究”だったわけです。そこで、博士課程(博士後期課程)に進学することをやめて、修士修了時点で就職することに決めました。

 しかし、修士の2年(まだ1年ちょっとですが)が無駄だったかというとそういうわけではなく、まず自分が本当に求めているものがわかりましたし、これから研究者になるであろう優秀な先輩や同級生と出会い、その道のプロフェッショナルである教授たちと面と向かって知識を授かり、深く討論することができたという体験は、非常に有意義なものでした。

 

文系院生の就活

 今僕は絶賛就活中です(そろそろ終わりそうです)。よく、「文系の院出たって就職ないよ」と聞くと思います。僕が就活してきた感覚で言うと、文系の院卒でも十分に就職先はあります。

特に出版関係なんかは文系学部卒より文系院卒を求める会社もあるくらいです。院卒が不利に働いたな、と感じたことはほとんどありませんでした。就職できるかどうかはその人の考え方次第だと思います。

 まだ学生身分の自分が偉そうに言えることではないのですが、同級生や先輩の話を聞いて感じたのは、“自分の専門を生かそうと考えすぎる”と失敗するのではないかな、ということです。もちろん、人文系、社会科学系の知識が社会に一切必要とされていないわけではありません。しかし、ピンポイントにそこが活かせる就職するのは難しいのかな、と感じました。学部卒と同じような就活をすれば問題ないと思います。それじゃあ院まで行った意味ないじゃんと思う方もいるかもしれませんが、勉強したことが就職に活きない内容だから生涯活かすことができない、とは一概には言えないと思います。

 

結びにかえて

 学部生の後輩から進学の相談をされたことがきっかけで珍しく真面目な長文を書きました。(たしかに現状文系の大学院についての情報って手に入れにくいと思います)

 僕自身は教授に勧められて何も考えずにすぐ進学を決めましたが、このブログがこれから文系の院進学選択肢として考慮したり、また考え直したりする人の一助になればなぁ、と思います。

 

 コメントしてくだされば私が答えられる範囲のことであれば答えたいと思っています、お気軽にどうぞ(笑)